-- シフトレバーのガタを修復2 --

ルーチェに多く見られるATシフトレバーのガタ。シフトレバーの支点にあるブッシュを交換すれば、横方向へのガタはほぼゼロになります。
しかし、それでも前後方向へのガタが残る場合、「シフトレバーの作用点部分にあるブッシュ」+「インヒビタスイッチ部分のブッシュ」を交換することで解決できる場合があります。
・Pレンジにしっかり入った感触がない。
・Pレンジでスターターが回らないことがある。
・Dレンジに入れた状態で前後にガタがある。
などの症状があれば、一度チェックしてみましょう。私のは上記ブッシュの交換でバッチリ直りました。

大体の位置関係です。
セレクターロッドの両端、すなわち「インヒビタスイッチ側」と「シフトレバー側」にブッシュが使われています。

車体下から覗くと、AT右側、フロアトンネルとAT本体の隙間にセレクターロッドが見えると思います。チェックはそのセレクターロッドを手で揺すります。ガタガタ動くようであれば要ブッシュ交換です。ガチャガチャと金属同士が触れる音がするようであれば、ブッシュが完全に終わっているものと推測されます(笑)

セレクターロッド周辺の拡大図です。
ブッシュが磨耗すると、ガタが大きくなって操作感が悪化する上に、レバーの位置情報がきちんとインヒビタスイッチに伝わらなくなる為、Pレンジでもスターターが回らなくなることがあります。

私のは、シフトノブ側のブッシュはカチカチ・ガタガタになりながらも残っていましたが、インヒビタスイッチ側のブッシュは完全に無くなっていました。こうなるとセレクターロッドとインヒビタスイッチが金属同士で接触しますので、案の定セレクターロッドが少し磨耗してしまっていました。

セレクターロッドの全体図です。
黄色のマーキングのある方が前方向。金色の方が新品です。
新品のリンケージはなぜかゴージャスな色です。

こちらがシフトレバーの作用点側。
ブッシュはカチカチ、ガタガタになりながらも残ってました。

反対のインヒビタスイッチ側。
ブッシュは残っていませんでした・・・
金属同士の接触により、磨耗が見られるのがお分かりいただけると思います。

交換作業は少し大変です。 外すのは特に問題ありません。スナップピンをマイナスドライバーなどを使って抜き、ワッシャー類を落とさないように気をつけながらセレクターロッドを抜き取ればOKです。両端が外れたら隙間から引き出せるでしょう。 問題なのは、新ブッシュの組み付け。とにかくスペースが少なく、穴に入れるのもキツめなので、工夫が必要です。シフトレバー側は割と簡単ですが、インヒビタスイッチ側は手が入らなく、左図のようなものを使って押し込みました。

ワッシャーとブッシュに太目の紐を通し、ワッシャー側で結び目をつけたものです。ブッシュ側の紐をインヒビタスイッチの穴に通し、紐を引っ張ることでブッシュを穴に押し付ける仕組みです。もちろん押し付けるだけではブッシュは穴に通りませんので、手でのサポートが必要です。私はこの方法でなんとか押し込みました。なお、ブッシュは挿入する方向が決まっていますので、逆にならないよう気をつけてください。
穴にブッシュが通ったらワッシャーやロッドを組み付けますが、その前にブッシュにグリスを塗っておくのをお勧めします。

結果はバッチリです!
Pレンジへもコクッと入るようになり、Dレンジでの前後ガタもほぼゼロになりました。もちろん、Pレンジでは100%の確率でスターターが回ります。(交換前は90%ほど)
さらにレバーを動かした時の感触もしっとりしたものになり、大満足です。

パーツリストから少し引用させていただきました。

ブッシュ2個の部品No.が変わっているようです。パーツリストでは、シフトノブ側ブッシュがFB02-46-684で、インヒビタスイッチ側ブッシュが1015-46-684Aとなっていますが、実際に受け取ったのはJ001-46-684が2個でした。何らかの対策が施されているのかも。他の部品も含め以下に列記します。

J001-46-684 ブッシュ \510 必要数2
H338-46-571 セレクターロッド \1,210 必要数1 (後期V6エンジン車用)
(後期FEエンジン車のセレクターロッドはH331-46-571 \1,210)
(後期13Bエンジン車のセレクターロッドはH334-46-571 \1,350)
(前期V6エンジン車のセレクターロッドはH267-46-571A \1,440)
(前期13Bエンジン車のセレクターロッドはH290-46-571A \1,430)
(前期FEエンジン車のセレクターロッドはH261-46-571A \1,310)
99953-0800 プレーンワッシャー \70 必要数4
99972-0800 ウェーブワッシャー \70 必要数2
FB02-43-152A スナップピン \130 必要数2

(いずれも2004年11月時点での価格)

周辺の部品を全て変えても3,000円弱で収まりますが、ブッシュだけの交換でも十分かもしれません。

なお、この作業は車の下で行うもので、しかもセレクターロッドを外した状態だと手でインヒビタスイッチを動かせる(車体下からPレンジ解除できる)状態になりますので、同様の作業をされる場合はパーキングブレーキをしっかりかける、輪留めをする、ウマがけするなどの安全対策を入念にお願いします。