-- 冷間時始動不良の修理 --



何年か前から、エンジンのかかりが妙に悪い状態が続いていました。
かかりが悪いのは冷間始動時のみで、エンジンが温まってしまえば一発始動。
エンジンのかかり方もまちまちで、どこが悪いのか悩みました。
パターンとしては、

@キーをひねるとすぐにブルンと初爆があるものの、初爆のみでエンスト。以下繰り返しで5回目くらいにくすぶりながらエンジンがかかる。
Aキーをひねってセルを回すこと5秒以上でやっと初爆がきて、くすぶりながらエンジンがかかる。

の2パターン。
Aの際にも、エンストすることが多々あります。

もちろん、セルモーターは、O/H済み&リレー設置でバリバリ回ってます。
急にこのような症状になったのではなく、だんだん悪化してここまでになった感じがします。
さて、何が原因でしょう・・・

この症状最大の問題は、エンジン始動に手間取ってると「コレだから古い車は・・・」と思われる点にあります(笑)
私の車ごときで、マツダ車の信頼を損なうわけにはいきません。恥ずかしいし・・・
あと、この症状があると、せっかくのリモートエンジンスターターが用を成しません。

まず、交換してみたのが燃料ポンプ。
始動時の燃圧のかかりが悪いのでは、と。
新品は4万円超とお高いので、まずは動作実績のある中古品に交換。

結果、わずかに改善がみられました。20年弱、14万キロの走行で、ポンプも劣化していたのでしょう。
ですが、根本的な解決には至らずでした。

次に交換してみたのが、フューエルプレッシャーレギュレーター(正式名称:プレッシャーレギュレーター 品番:JE26-13-280 約9,000円)。
燃圧を一定以上に保ち、エンジン停止後も燃圧を保持する役目があります。
エンジン停止後の燃圧抜けを疑って交換してみました。

結果、まったく変化なし。

さて、行き詰まりました。
気を取り直して、他の容疑者を挙げてみます。

・燃料フィルター(詰まり?)
・インジェクター(後ダレ?)
・プラグ(イリジウムMAXとの相性?)
・ECU用水温センサー(特性ずれ?)
・点火コイル(故障?)
・コールドスタートシステム(故障?)
・BACバルブ(固着or断線、ショート?)
・スロットルポジションセンサー(故障?)
・エンジン本体(コンプレッション低下?)


まず、「燃料フィルター」は、以前に良品と交換したことがあるので除外。
「インジェクター」は怪しいけど、6つもあるし、簡単にチェックできるものでもないので除外。
「イリジウムプラグ」も怪しいけど、交換(2005年1月)してからしばらくは問題なかった気がするので除外。
「ECU用水温センサー」(正式名称:ウォーターテンプセンサー 品番:8574-18-840 3,000円ほど 別にガスケット品番:99564-1200が必要)は前年に新品交換しているので除外。
「点火コイル」は逆に温間時に不具合が出そうな気がするので除外。
「コールドスタートシステム」は、温度センサーと、冷間時専用のインジェクターを組み合わせたシステムですが、そうそう壊れるものではないと判断して除外。
「BACバルブ」はアイドルアップをきちんとするので除外。
「スロットルポジションセンサー」はアイドルが安定してるし…で除外。
「エンジン本体」もどうにもならないので除外。

全部除外されてしまいました(笑)

仕方がないので、デジタルテスター片手に各部品の抵抗値をチェックします。
抵抗値だけで「正常」とは判断できないとは思いますが、抵抗値がおかしいのは論外ということで。

BACバルブの標準値は、11.5±0.8Ω(20℃)。問題ありません。
スロポジの抵抗も問題ありません。
コールドスタートインジェクタの標準値は、3〜5Ω(20℃)。問題ありません。
コールドスタートインジェクタのスイッチの抵抗値は整備書に載っていませんが、2つの端子とスイッチ側面間の抵抗値がそれぞれ47Ωほどなので、断線や短絡はしてないようです。

またもや行き詰まり。

困ったときは点検しやすい部分から、ということで、コールドスタートインジェクタの動作を目視で確認してみることに。

手順は、
@インジェクタ(赤丸の部分)のカプラーを抜く。
Aスロットルボディからインジェクタを取り外す(ボルト2本)。
Bガソリンが飛散しないよう、インジェクタにビニール袋をかぶせる。
C再度カプラーを接続(配線に余裕がないので要注意)。
Dセルを回す。

水温が35℃以下でしたら、インジェクタがガソリンを噴射するのが正常です。
噴射時間は、水温が35℃でしたら一瞬かもしれません。水温が低ければ低いほど噴射時間が長くなるようです。
ガソリンが噴射するのはクランキング中だけなので、二人で作業した方がよいでしょう。

この日は3月でも寒い日で、気温は10℃強程度。エンジンも冷え冷えなので、インジェクタの大量噴射が期待されます。
エンジンがかからないように点火コイルの端子を抜いてからいざクランキング。
しかし!いくらクランキングしてもインジェクタからは一滴もガソリンが出てきません。

犯人が見えてきました(笑)

コールドスタートインジェクタのシステムが動作していないのがわかったので、まずはインジェクタから点検。

インジェクタの端子に12Vを接続(+-はどちらでもいいみたい)すると、先端から勢い良くガソリンを噴射。
先ほどクランキングしたときの残圧分が噴射されたようです。

これでインジェクタは正常と判断しました。

他に怪しいのは、ECU、コールドスタートインジェクタのスイッチ(赤丸の部品)、配線となります。

ECUは、以前に平成2年7月製のものに交換(元のは4月製)していますが、何の変化も無かったので犯人ではなさそうです。
配線はそうそう切れたりしないと思いますが、一応インジェクタとスイッチの間の導通だけ確認しました。問題なし。
ECUまでの配線はめんどいので省略。

残るはコールドスタートインジェクタのスイッチ。
もうコレしかないでしょ?(というかコレであってくれ…)ということで、取り寄せてもらいました。

正式名称は、「コールドスタートサーモスイッチ」(品番:8574-18-870)。
8,000円くらいとよいお値段です。




* 赤丸の右、緑の端子のがエンジンコントロール用の水温センサーで、
 赤丸の右上の小さいのが、メーター用の水温センサーです。

新旧比較。
デンソーのロゴが「NDマーク」から「Dマーク」に変わっている以外は同じです。
銅のガスケットはスイッチに付属します。

今回は、モンキーレンチで適当に交換したのですが、真面目に交換するなら26mmの深めのソケットが必要です。

新品スイッチの端子とスイッチ側面間の抵抗値を計ってみました。

一方は、約30Ω(温度によって上下するかも)。
他方は、約0Ω(デジタルテスターの表示で0.1Ω)。

古いスイッチでは両方とも47Ωほどでしたので、やはり抵抗値が異なります。
古い方は、冷凍庫でカチカチに凍らせても20Ω程度にまでしか下がりませんでした。

 ・「一方の端子とスイッチ側面間の抵抗が約0Ω」
 ・「他方の端子とスイッチ側面間の抵抗が数十Ω」
 (いずれも気温15度程度時)

がスイッチの良否判定の目安になるかもしれません。

交換しました。

結果は「完治」。
冷間時でも一発でブルン!と始動します。
もちろん、始動時にエンジンがブルブルとくすぶることもなく、一気にアイドルアップ状態になります。
何とも気持ちの良いエンジン始動。これで人前でエンジンをかけても大丈夫(笑)


このコールドスタートインジェクターのシステムですが、ルーチェでの採用はJE-DOHC車のみのようです。
他のJ型エンジン搭載車では、HDセンティア前期のみで、HD後期やHEセンティア、フレンディ等では省略されています。
始動時のエンジン制御や、インジェクターの性能向上で不要になったのかもしれませんね。