最終型(5代目HC型)ルーチェは、1986年9月にフルモデルチェンジしたマツダの最高級車です。
車格は先代のHB型からさらに引き上げられ、ボディサイズは5ナンバーフルサイズにまで拡大されました。
ライバルとして、クラウンやセドリック、グロリアが想定されています。
その新型ルーチェの設計思想は、今までの高級車とは大きく異なり、高い走行性能を追求したものになっています。
まず、ボディはコンピュータによる強度計算、レーザー解析を駆使し、高剛性スーパーモノコックボディを新開発。
これまでの高級車がしなるボディと軟らかいサスペンションにより乗り心地を確保していたのに対して、高剛性ボディと
高性能サスペンションを組み合わせることにより、優れた乗り心地と走行安定性を実現しています。
サスペンションは、フロントにはコンプレッションロッドやオイル封入ブッシュにより、高い操舵性能を実現したストラット式を採用。
リアには、マツダの特許技術であるE型マルチリンクサスペンションを初採用。このE型マルチリンクサスペンションは、軽量・コンパクトでありながらも
従来のマルチリンクサスペンションの持つ全ての利点を備えています。
エンジンもJ型V6エンジンを新たに開発。V型エンジンならではの特性を生かし、可変共鳴加給、慣性過給制御が行われ、高級車にふさわしいフラットなトルク特性を生み出しています。また、マツダらしく13Bロータリーターボモデルもラインナップ。ロータリーならではの振動の少なさ、音の静かさに加え、ひとたびアクセルを踏めば強烈な加速を味わえるモデルとなっています。
ボディにはセダンとハードトップというラインナップがありますが、パーソナルユースではほとんどの場合ハードトップがセレクトされ、
セダンは主に社用車やタクシーなどのショファードリブン、そして対欧米輸出用のMazda929として使われました。
平成3年5月までマイナーチェンジを経て製造されましたが、このモデルを最後に”パーソナルカーとしてのルーチェ”の名前が消滅し、
後継となるHD型はセンティアという名前でデビューしました。
生産開始から20年も経つモデルですが、その基本に忠実な風格あるデザインと高い設計思想に基づく完成度、高い耐久性により、今でも多くのオーナーに愛されています。
なお、車名のルーチェとはイタリア語で”光”を意味し、エンブレムはそれを意識したデザインとなっています。
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